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    <title>SS置き場</title>
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    <description>Twitterで書いた二次創作SSを載せていくだけの場所。
夢も腐もある無法地帯。</description>
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    <dc:date>2022-03-30T23:21:27+09:00</dc:date>
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    <title>お化け屋敷の話</title>
    <description>ほとんど照明が切れているせいで薄暗い廊下。割れた窓から吹き込む冷たい風。何年も積もったホコリと、ツンとした消毒の香り。今にも心臓が止まってしまいそうな程に不気味な廃病院。それが人工的に作られたものだと分かっていても、そこはかとなく漂ってくる不穏な雰囲気に双海は泣きそうになっていた。
「ふたみくん、だ...</description>
    <content:encoded><![CDATA[<div data-pm-slice="1 1 []" data-en-clipboard="true">ほとんど照明が切れているせいで薄暗い廊下。割れた窓から吹き込む冷たい風。何年も積もったホコリと、ツンとした消毒の香り。今にも心臓が止まってしまいそうな程に不気味な廃病院。それが人工的に作られたものだと分かっていても、そこはかとなく漂ってくる不穏な雰囲気に双海は泣きそうになっていた。</div>
<div>「ふたみくん、だいじょうぶ？」</div>
<div>「全然大丈夫じゃないよぉぉ」</div>
<div>普段と変わりなく落ち着いているバベルに隠れるように、双海は彼の背中にピッタリと張り付いている。そうでもしないと恐怖で押しつぶされてしまいそうだった。</div>
<div>「バベル君、お願いだから俺のこと置いていかないでよ」</div>
<div>「うん、わかった」</div>
<div>「絶対だからね！」</div>
<div>双海はバベルの服をぎゅーと掴みつつ、この仕事を受けてきた時の一誠の嬉々とした顔を憎々しげに思い返した。</div>
<div>アルケミストとランスロットがペアを組んで行う最新ホラーハウスのロケ。最初にこの仕事の話を聞いた時は耳を疑った。それは鷹通も同じだったが、二人がどれだけ抗議しようと仕事の話はすでに進んでしまっているらしく断るという選択肢はなかったのだ。</div>
<div>不幸中幸いだったのは、双海のペアがバベルだったことくらいだろう。もしも朔空と組むことになっていたらと思うとゾッとしてしまう。</div>
<div>「ふたみくん、すすんでもいい？」</div>
<div>「いいよ。でも、出来るだけゆっくり行ってね」</div>
<div>「はーい」</div>
<div>のんびりした返事にホッとする。このままバベルにくっついて外に出ようと目論んだ双海は、彼の大きな背中に顔を埋めた。</div>
<div>コツコツと、二人分の足音が無機質な壁に反響する。ホラーハウス故に時折不気味なうめき声や悲鳴がそこかしこから聞こえてきて、その度にドキリとしたがバベルの背中から伝わってくる落ち着いた鼓動のおかげで恐怖心は緩和された。更に彼の体温がヒヤリと底冷えしそうな双海を温めてくれて、体の震えも幾分かはマシになっていた。しかもバベルはちゃんと双海を気遣ってくれて、曲がる時や階段を昇る時なんかはちゃんと声を掛けてくるのだ。心強さしかなかった。</div>
<div>これなら何とか無事に出口までたどり着けそうだ。そう安心しながら、バベルに導かれるままに進んでいく。それでもそれなりの距離があるアトラクション故に、ゴール直前にたどり着いた時にはかなりの疲労感が蓄積していた。</div>
<div>「バベル君、あとどれくらい？」</div>
<div>「えっとね、あとはれいあんしつをぬけたらでぐちみたいだよ」</div>
<div>「うわぁ、ものすごく行きたくない」</div>
<div>「いくのやめる？」</div>
<div>「行くよ。早く外に出たい」</div>
<div>「わかった。あとすこし、がんばろうね」</div>
<div>バベルの励ましに背中を押されつつ、最後のエリアに入る。きっと空調を寒く設定しているのだろう。入った途端にとてつもない寒さに包まれて、双海は思わず身震いした。バベルも寒いのか、少しだけ体が震えていた。</div>
<div>「ここ、とってもさむいね」</div>
<div>「そうだね。ねぇ、早く出口に進もう」</div>
<div>「&hellip;&hellip;&hellip;」</div>
<div>先を急ぎたくて、双海はバベルの背中を押す。しかし、バベルはその場で立ち止まり足を踏み出そうとはしなかった。</div>
<div>「バベル君、どうしたの？」</div>
<div>「ふたみくん、ちょっとしずかにしてて」</div>
<div>「えっ？」</div>
<div>不意に小さくなったバベルの声には緊張感が含まれていた。目を瞑っていて聴覚が敏感になっていたが故にその変化にしっかりと気付いてしまった双海は、思わず体を強ばらせた。</div>
<div>一体何があったのだろう。まさか何か視えているのではないか。</div>
<div>確認したいが、怖くて目を開けない。尋ねようにも、静かにしろと言われているから聞くことも出来ない。ただ、悪い予感だけがどんどん募っていき、双海の心臓は不規則に暴れ出そうとしていた。</div>
<div>「ふたみくん、ぜったいにバベルからはなれたらだめだよ」</div>
<div>囁くような声。双海は黙ったままコクコクと頷く。そしてバベルを離すまいと、彼の腰に腕を回してピッタリとくっついた。</div>
<div>「じゃあ、うごくね」</div>
<div>そろり、そろり、とバベルが歩き出す。双海もそれに合わせてゆっくりと足を動かしていく。 きっとここから出口までの距離はそこまで長くはないだろう。しかし、訳の分からない恐怖によって途方もない長さに感じられた。</div>
<div>最終的には怖さで何も考えられなくなっていたようで、ゴールに到達してからバベルに何度も名前を呼ばれてようやく正気を取り戻したのだった。</div>
<div>「ふたみくん、ふたみくん、だいじょうぶ？おそとにでたよ」</div>
<div>「えっ、外&hellip;&hellip;」</div>
<div>ゆっくりと目を開ける。そして彼の背中から顔を上げると、陽の光が差し込んできた。</div>
<div>「うわっ、眩しい！」</div>
<div>「おばけやしきのなか、とってもくらかったもんね。バベルも、めがちかちかした」</div>
<div>双海はずっと掴まっていたバベルから体を離す。すると、バベルはくるりと双海と向き合うように振り返った。</div>
<div>「ねぇ、ふたみくん」</div>
<div>まだ目が明るさに慣れない。そのせいで自分を見下ろしているバベルがどんな顔をしているのか全く分からない。だが、声色からとても優しい顔をしているであろうことは想像できた。</div>
<div>「こわいのに、よくがんばりました」</div>
<div>大きな手のひらが頭に降りてくる。そのままあやす様に頭を撫でられて、ようやく緊張の糸が途切れた心地がした。同時に腰も抜けてしまったようで、双海は倒れてしまわないようにと、もう一度バベルにくっついた。今度は向かい合う形で&hellip;。</div>
<div>「あのさ、ちょっと聞いてもいい？」</div>
<div>「なに？」</div>
<div>「最後の霊安室だけど、どうして立ち止まったの？」</div>
<div>怖いもの見たさという心理が働いてしまったのか、双海は不意にそう尋ねていた。一瞬だけバベルの手がビクリと動揺で震えたのが伝わってくる。</div>
<div>問いかけに対してバベルはすぐに答えることはせず、僅かな沈黙が生まれた。話してもいいのかどうかを葛藤しているのかもしれない。</div>
<div>もしかしたら聞かなかった方がよかったのではないか。そんな後悔と恐怖がじわじわと湧き上がってきたところで、バベルの声が降ってきた。</div>
<div>「えっとね、バベルたちのまえに、くろくて&hellip;」</div>
<div>「やっぱり言わないで」</div>
<div>自分で尋ねておいて情けなく思いつつ、双海はバベルの口を片手で塞いだ。せっかく落ち着いてきていた心臓が再び震え始める。</div>
<div>「バベル君、ごめん。まだ怖いからもう少しこうしてて」</div>
<div>「うん、いいよ」</div>
<div>よーし、よーし、と自分を宥めるバベルには申し訳ないが、彼とは二度とホラーハウスに入りたくないと思った双海だった。</div>]]></content:encoded>
    <dc:subject>未選択</dc:subject>
    <dc:date>2022-03-30T23:21:27+09:00</dc:date>
    <dc:creator>雑音</dc:creator>
    <dc:publisher>NINJA BLOG</dc:publisher>
    <dc:rights>雑音</dc:rights>
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    <title>女装して歩くだけの話</title>
    <description>歩く度に足に生地がまとわりついてくる。風が吹けば簡単に裾が浮き上がり、下着が見えていないか気になってしまう。女性が平然と身に付けているスカートはこんなに歩きにくい服装なのか、と黒羽は身をもって思い知っている最中だった。
「朔空、頼むからもう少しゆっくり歩いてくれ」
自分の隣を何食わぬ顔でスタスタと歩...</description>
    <content:encoded><![CDATA[<div data-pm-slice="1 1 []" data-en-clipboard="true">歩く度に足に生地がまとわりついてくる。風が吹けば簡単に裾が浮き上がり、下着が見えていないか気になってしまう。女性が平然と身に付けているスカートはこんなに歩きにくい服装なのか、と黒羽は身をもって思い知っている最中だった。</div>
<div>「朔空、頼むからもう少しゆっくり歩いてくれ」</div>
<div>自分の隣を何食わぬ顔でスタスタと歩く朔空に、黒羽は小声で話しかける。しかし、朔空は楽しげに目を細めるだけで、歩く速度を落とそうとはしなかった。あからさまな悪意に黒羽は朔空を睨み上げ。そもそも、今こうして黒羽が女装しているのは朔空のせいなのだから&hellip;&hellip;。</div>
<div>今日はオフ日。本来ならばスーパーのタイムセールをはしごして、作り置きを作っておく予定だったのだが、不運にも突然の出費と借金返済の振込が重なってしまい朔空に無利子でお金を借りた結果、こうやって彼の用事に付き合わされる事になったのだ。</div>
<div>最初は複数人数でのみ頼めるのパフェを食べたいから、数合わせで付き合ってくれとだけ言われていたのだが、どうやらそれはカップル限定のものだという。おかげでどちらが彼女役をやることになり、借りがある負い目と身長を理由に黒羽が女装する羽目になったのだった。</div>
<div>「黒、今更だけどものすごくがに股になってるよ」</div>
<div>「仕方ないだろ。歩きにくいんだ」</div>
<div>「もっと堂々としてないと、男だってバレちゃうかもよ」</div>
<div>やっと朔空がこちらに気を向けたかと思いきや、意地の悪い言葉を投げかけられた。黒羽はムッとしつつも、実際にかなり不自然な歩き方をしているからと反論出来ずにいた。寧ろ、不服だが朔空の指摘には一理あって、受け入れるしかなかった。</div>
<div>堂々としている方が自然だし、道中で何度かモデルのカップルかと勘違いもされたのだ。せっかく男だのバレていないのに、不自然に歩いているせいで気付かれていまったらたまったものではない。</div>
<div>黒羽は沸き上がる羞恥心を懸命に抑えながら、顔を上げる。そして、ステージに経つ時のことを意識しながら、背筋を伸ばした。</div>
<div>「あはは、さっきより全然マシになったじゃん」</div>
<div>「茶化すな」</div>
<div>「はいはい、ごめんって。まぁ、せいぜい転ばないように気をつけてよね」</div>
<div>「そんなヘマなことするわけないだろう」</div>
<div>一体どこまで馬鹿にすれば気が済むのだろうか。始終楽しげにこちらを観察してくる朔空から、ぷいっと視線を逸らして、黒羽は再び歩き出した。</div>
<div>喫茶店まではまだ少しある。まずはそこにたどり着くまで頑張ろう。そう自分に言い聞かせて、朔空の隣に並んだ。</div>
<div>時折ニヤニヤした朔空がこちらを見下ろしてくるが、敢えて無視を決め込む。ここで少しでも怒ったり恥じらいを見せても、彼を楽しませるだけだからだ。</div>
<div>(大丈夫だ。俺は可愛い。どこからどう見ても可愛い。男には見えない。大丈夫。大丈夫)</div>
<div>心の中で呪文のように己を励ます。さっきよりも大股で、早足で、足を動かす。</div>
<div>そうしていると遠くに目的の看板が見えてきた。あとは歩道橋を渡って、少し進めばゴールだ。</div>
<div>「黒、少し慎重に歩いた方がいいんじゃない？」</div>
<div>「余計なお世話だ」</div>
<div>朔空の言葉に素っ気なく答えたものの、この返答に黒羽はすぐに後悔する事になった。歩道橋の階段に差し掛かったところで、スカートの端が何度もつま先に引っかかるようになったからだ。平らな道を歩いている時はこんなことはなかったのだが、うっかりスカートを踏んでしまって何度もバランスを崩しそになった。</div>
<div>それでも朔空に頼る気にはなれなくて、手すりをしっかりと持ちながら何とか歩道まで登りきる。その時にはかなり気疲れが溜まっていて、まだこれから階段を下らないといけないのかと思うと気が重たくなった。</div>
<div>とぼとぼと歩道を渡り、下り階段まで差し掛かる。黒羽は憂鬱なため息を深く吐きながら、慎重に一歩を踏み出した。</div>
<div>一段。また一段。ゆっくりと着実に階段を下っていく。一方で朔空は黒羽より少し早いペースで階段を降りていき、両者の間には徐々に距離が開こうとしてきた。</div>
<div>待ってくれ、何て口が裂けても言いたくない。だから、黒羽は頑張って彼の後を追った。それがいけなかった。</div>
<div>「えっ&hellip;&hellip;」</div>
<div>不意に体が手前に傾く。咄嗟に踏ん張ろうとしたが、うっかりスカートを踏んでしまって、足が上手く動かせない。手すりを持とうとしたものの、呆気に取られている間にギリギリ指先の届かない辺りまで体は宙に投げ出されてしまっていた。</div>
<div>(落ちる)</div>
<div>と確信する。背後からは他の通行人の悲鳴が聞こえた。ただただ気持ちの悪い浮遊感に包まれる。頭の中は真っ白になっていて、叫ぶことも助けを呼ぶことも出来なかった。</div>
<div>黒羽は咄嗟に目を閉じる。そして自分が倒れていく感覚をありありと感じつつ、すぐに訪れるであろう痛みに身構えた。</div>
<div>しかし&hellip;&hellip;</div>
<div>ドサッと衝撃が走ったものの、想像していた傷みとは全く別の感触が全身を包んだ。</div>
<div>ほのかに温かい。そして、程よく硬い。</div>
<div>唖然としながらも目を開けると、そこには朔空の呆れ顔があった。</div>
<div>「ちょっと、黒。大丈夫？」</div>
<div>「&hellip;&hellip;&hellip;」</div>
<div>朔空の声はちゃんと耳に届いている。しかし、突然の事で頭が混乱してしまい、黒羽はまともに返事が出来そうになかった。取り敢えず首を何度も縦に振って問題ないことを伝える。</div>
<div>「本当に？」</div>
<div>朔空の表情は怪訝そうなままだ。それでもそれ以上は聞き返すことはなかった。更に、さっき転びそうになった拍子に脱げかけてしまった黒羽の靴を履かせ直し、落ち着くようにと優しく背中まで叩いてきた。普段との辛辣な態度とのギャップに更に頭が混乱してしまいそうになる。</div>
<div>「じゃあ、行こっか」</div>
<div>「ふぇっ&hellip;&hellip;」</div>
<div>勢い余って朔空に抱きついてしまった名残で、自分の腕はまだ彼にしっかりと捕まっている。だが、朔空はそれを振りほどこうとはせず、それどころか黒羽を支えたまま歩き始めた。</div>
<div>手を離さなければ。そう思いつつも、体は緊張しているのに気は緩んでしまっていて、朔空の腕をがっちり掴んだ黒羽の手は言うことを聞いてくれそうになかった。</div>
<div>色々な事が起こりすぎて、脳の処理が追いつかない。背後にいた通行人が「彼氏さんイケメンすぎ」「格好いいなぁ」などと話している声を辛うじて処理できた程度だ。それからは朔空の腕に抱きつき腰を支えられたまま喫茶店まで歩いたことも、二人で向かい合って座ってカップル限定パフェをつついたことも、帰る道中も手を引かれていたことも、ぼんやりとしか記憶に残っていなかった。</div>
<div>帰宅後、身も体も落ち着いてきたのは数時間が経過してからだ。じわじわと己の失態の追憶と羞恥が押し寄せてきて、黒羽は自室のベットに引きこもると、深々と布団を被って悶絶したのだった。</div>]]></content:encoded>
    <dc:subject>未選択</dc:subject>
    <dc:date>2022-03-14T14:40:23+09:00</dc:date>
    <dc:creator>雑音</dc:creator>
    <dc:publisher>NINJA BLOG</dc:publisher>
    <dc:rights>雑音</dc:rights>
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    <title>お祝いする話</title>
    <description>この日は朝から雪が降っていた。小さな粉雪ではなく、ふわふわとした大きな牡丹雪だ。
「今日は雪が積もるかもしれぬな」
と窓の外を見て呟いたエヴァの言葉は的中し、バベルがオンスタの誕生日配信を終えた時には、外はすっかり雪景色になっていた。日が沈み、夜色の中で街頭に照らされた雪がキラキラと輝いて、とても綺...</description>
    <content:encoded><![CDATA[<div data-pm-slice="1 1 []" data-en-clipboard="true">この日は朝から雪が降っていた。小さな粉雪ではなく、ふわふわとした大きな牡丹雪だ。</div>
<div>「今日は雪が積もるかもしれぬな」</div>
<div>と窓の外を見て呟いたエヴァの言葉は的中し、バベルがオンスタの誕生日配信を終えた時には、外はすっかり雪景色になっていた。日が沈み、夜色の中で街頭に照らされた雪がキラキラと輝いて、とても綺麗だ。</div>
<div>バベルは配信の片付けをし、撮影のために残っていたスタッフやプロデューサーに挨拶をし、早足でエントランスに向かう。彼の心はルンルンと弾んでいた。</div>
<div>寒いのは苦手だが、今のバベルには気にならない。温かいマフラーや手袋、もこもこのダウンコート。これまで家族や仲間が贈ってくれたプレゼント達が彼に温もりを与えているからだ。</div>
<div>それに、今すぐにでも外に出たくて仕方がなかったのだ。雪で染まった純白の世界はとても幻想的だろう。誰も踏んでいないフワフワの雪の感触はきっと柔らかくて、雲の上を歩くような心地なのだろう。</div>
<div>わくわくと膨れていく期待に心を踊らせながら、バベルは扉に手をかける。そして、グッと力を込めて扉を開けたのだった。</div>
<div>「えっ&hellip;&hellip;&hellip;」</div>
<div>外に出て一歩を踏み出す。しかし、そこでバベルの足は止まった。出先にとても奇妙な物が鎮座していたから&hellip;&hellip;。</div>
<div>「こうちょう？」</div>
<div>エントランスを出た目と鼻の先には、巨大なクマ校長が聳(そび)えていた。正しくは雪で作られたクマ校長なのだが、バベルがずっと上を見上げるくらいの巨体をしている。それが傍にある街灯によって後光のように照らされ、とてつもないインパクトを放っていた。</div>
<div>いつの間にこんなものが出来上がっていたのだろう。バベルが他の仲間を見送った時にはこんなものはなかったはずだ。スタッフの誰が作ったのかもしれないが、ここまで大きな物を作り上げるのは簡単ではない。とにかく不思議で仕方がなかった。</div>
<div>バベルは呆然としながら、雪のクマ校長に釘付けになる。そうしていると、突然パンッ！と賑やかな音が辺りに響いた。</div>
<div>「わっ！」</div>
<div>バベルは思わず声を上げる。大きな音は丁度クマ校長の後ろあたりから聞こえていた。更に紙吹雪やカラーテープが舞っていて、それがクラッカーの音であることは直ぐに理解出来た。</div>
<div>「だれか、いるの？」</div>
<div>クマ校長の背後に隠れているであろう人物にバベルは声をかける。すると、巨大な影から見慣れた人影が姿を現した。</div>
<div>「待ってたよ、バベル」</div>
<div>「驚いてくれたっすか？」</div>
<div>澪と蛮だ。二人とも悪戯が上手くいった子供みたいに無邪気な笑顔を浮かべていた。バベルは何度かぱちぱちと瞬きをして、自分の方に駆け寄ってくる二人を見下ろした。</div>
<div>「みおくんと、ばんくん。もしかして、ずっとバベルをまってくれてたの？」</div>
<div>「そうだよ」</div>
<div>バベルの右手を澪が、左手を蛮が、ぎゅっと掴む。三人とも手袋をしてるからとてともこもこして、ぬくぬくして、心地がいい。</div>
<div>「ちなみに、バベルを待ってるのは俺と澪だけじゃないっすよ？」</div>
<div>「えっ？」</div>
<div>蛮の言葉にバベルは首を傾げる。しかし理解するよりも前に、澪と蛮は歩き始めた。</div>
<div>「ばんくん、どういうこと？」</div>
<div>「それはもう少ししたら分かるっす！」</div>
<div>「もしかして、おにいちゃん？」</div>
<div>「もちろんエヴァ様もバベルが来るのを待ってるよ。ほら、行こう」</div>
<div>「&hellip;&hellip;うん」</div>
<div>二人に導かれるままに雪の中を進んでいく。バベルが期待していた通りに、ふんわり積もった雪の上を歩くのは心地がよかった。足跡がしっかりと残っていくのも面白い。</div>
<div>このまま三人でたくさん足跡を付けながら家に帰ったら楽しいかもしれない、と思ったバベルだったが、その考えに反して二人は帰り道とは全く別の方向へ進もうとしていた。</div>
<div>「ねぇ、ふたりとも、おうちはそっちじゃないよ」</div>
<div>「そうだね。でも、こっちで合ってるから安心してよ」</div>
<div>「&hellip;&hellip;&hellip;うん？」</div>
<div>やはり、よく分からない。</div>
<div>疑問符を浮かべながら、バベルは連れていかれるがままに歩いていく。どうやら二人が向かっているのはグランドの方らしい。</div>
<div>そこに何かあるのだろうか。</div>
<div>不思議に思いながらも、ニコニコと笑う二人を見ていると、自然と期待で心が弾む心地がした。そして&hellip;&hellip;</div>
<div>「わぁ！」</div>
<div>グランドにたどり着くのと同時に見えた景色に、バベルは目を見開いたのだった。</div>
<div>まるで北国の雪まつりのように、大きな雪象やかまくらが何個も並んでいる。その中でも一際目を引いたのは、たくさんの段のあるケーキの雪像だ。更にその周りにはアイチュウのメンバーが集まっていて、バベルは驚くばかりだった。</div>
<div>「あいちゅうのみんな？」</div>
<div>「そうだよ。何人かは寒いからって教室に引きこもってるけどね」</div>
<div>「もしかして、ぜんいんいるの？」</div>
<div>「そうっすよ！こんなに雪が積もることって珍しいから、雪で色々作ってバベルの誕生日をお祝いしたいなって話をエヴァ様と澪としてたら、他の皆が協力してくれたんっす！」</div>
<div>「そうだったんだ」</div>
<div>全然気付かなかった。皆普段通りに学園に来て、いつも通りに帰って行った。そう思っていたのに、バベルの知らないところではそんな計画が進んでいたのだ。</div>
<div>とても嬉しい。学園でたくさん「おめでとう」をもらったのに、まだ皆にお祝いしてもらえる。そう思うと心がとても温かくなった。</div>
<div>ほんのりと熱くなる目頭に気付いたバベルは、懸命に涙を堪える。幸せの涙でも、今は流したくない。今は思い切り笑っていたい。そう思ったからだ。</div>
<div>「バベル、はやくこっちに来いよ！輝が張り切って特大のバベル像作ってるぞ！」</div>
<div>星夜の大きな声がハッキリと耳に届く。</div>
<div>「それが終わったら皆で雪合戦しようぜ！」</div>
<div>「なるべくはやく来てね。俺、もう皆の的になるの嫌だよ。かまくらでだらだらしたい」</div>
<div>「我も流石に疲れたぞ」</div>
<div>雪玉を持ったレオンと、雪まみれでげっそりとした双海とエヴァが手招きをしている。</div>
<div>「寒くなったら教室に来い。お汁粉を用意しているからな」</div>
<div>一つだけ明るい教室からはエプロンを着た黒羽が声をかけ、中で寛いでいる睦月や桃助が手を振っている。</div>
<div>ここにいる皆がバベルを歓迎していることがはっきりと伝わってきた。</div>
<div>「バベルは人気者だね」</div>
<div>「どこから行くっすか？」</div>
<div>「えっとね、まずは&hellip;&hellip;」</div>
<div>バベルはわくわくしながら考える。皆でわいわいと雪合戦をするのは楽しそうだけど、自分の像というのがとってもきになった。輝のことだから、きっと格好いいポーズにしてくれているはずだ。だから、まずはそこから見に行こう。その後で雪の中をたくさん走り回って、出来たら大きな雪だるまも作りたい。そして、遊び疲れてヘトヘトになったら温かいものを食べてゆっくりと休むのだ。もちろん、皆に「ありがとう」を伝えるのも忘れてはいけない。</div>
<div>やりたいことが次から次へと浮かんでくる。澪も蛮もそんなバベルを急かすことはせず、彼の返事を手を繋いだまま待っていた。</div>
<div>「みおくん、ばんくん、バベルきめたよ」</div>
<div>「そっか。じゃあ、一緒に行こう」</div>
<div>「うん」</div>
<div>バベルは二人の手をギュッと握る。そして、皆の待つグランドに三人で一緒に駆けて行った。</div>
<div><br />
<br />
Happy Birthday Babel !!<br />
<br />
<br />
</div>]]></content:encoded>
    <dc:subject>アイチュウ</dc:subject>
    <dc:date>2021-12-30T22:08:01+09:00</dc:date>
    <dc:creator>雑音</dc:creator>
    <dc:publisher>NINJA BLOG</dc:publisher>
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    <title>編み物の話</title>
    <description>バベルは手芸が得意だ。しかもぬいぐるみや洋服などレパートリーも多い。これまでもいろんな物を作ってきたが、どうやら今は編み物に夢中な様だ。
「もう編み物を始めているのか？」
まだ編み物をするには早いのではないか。そんな疑問を抱きつつ、黒羽はバベルに尋ねた。
季節はとっくに秋である。しかし、未だに夏の気...</description>
    <content:encoded><![CDATA[<div data-pm-slice="1 1 []" data-en-clipboard="true">バベルは手芸が得意だ。しかもぬいぐるみや洋服などレパートリーも多い。これまでもいろんな物を作ってきたが、どうやら今は編み物に夢中な様だ。</div>
<div>「もう編み物を始めているのか？」</div>
<div>まだ編み物をするには早いのではないか。そんな疑問を抱きつつ、黒羽はバベルに尋ねた。</div>
<div>季節はとっくに秋である。しかし、未だに夏の気配は消えず、クーラーが無ければ汗ばんでしまう日が続いていた。今も窓から差し込む日差しが強くてカーテンを閉めているくらいだ。もちろん、その程度では暑さは凌げない。それなのに、目の前で暖かな毛糸を編み続けているバベルのおかげで視覚的な暑さがどんどん増していく一方だったのだ。</div>
<div>「あみものしたら、だめだった？」</div>
<div>「いや、そういう訳ではないが&hellip;&hellip;」</div>
<div>今は休憩時時間だから何をしても構わない。しかし、これ以上暑くなるようなことをしてほしくないというのが黒羽の本音だ。</div>
<div>朔空も黒羽と同じ気持ちだったのか、いつの間にか休憩室から出て行ってしまっていた。ただ単にプロデューサーを追いかけに行っただけかもしれないが、黒羽の傍を通り過ぎて行った時に、彼の頬を汗がダラダラと伝っていたのは気のせいではないだろう。</div>
<div>そんな中で、バベルだけは暑そうな気配が全くないのだから不思議だ。</div>
<div>器用に毛糸の輪に編み棒を潜らせていくバベルの表情は真剣そのものだ。一定の速さで指を動かしつつ、視線は真っ直ぐ編みかけの手袋に向けられている。そのままの状態でバベルは口を開いた。</div>
<div>「さむくなるまえに、くろと、さくの、てぶくろをかんせいさせたいから、がんばってるの」</div>
<div>「俺と朔空？お前の手袋じゃないのか？」</div>
<div>てっきり彼自身の物を作っているのだと思っていた黒羽は、自分の名前が出てきたことに虚を突かれて目を丸くした。</div>
<div>バベルは頷く。</div>
<div>「じつは、くろと、さくに、してほしいことがあるのです」</div>
<div>さっきまで真剣な眼差しをしていた目に、柔らかな優しさが浮かび上がる。</div>
<div>「さむくなったときに、てぶくろをつけてぽかぽかになったてで、バベルをあたためてもらいたいんだ」</div>
<div>そこまで言って、バベルは口を閉じた。その口角は僅かに上向きで、微笑みを携えている。</div>
<div>そして、しばらく黙々と編み針を動かして編み返しのところまで進めたところで、バベルの手が止まった。まだ編み始めたばかりの段階だからどんな形で、どんな色で、どんな模様に仕上がっていくのかは分からない。だが、使われている毛糸の色が深い赤であることから、黒羽のものなのだろうと予想出来た。</div>
<div>バベルはふーっと息を深く吐く。彼の視線が編み物からゆっくりと離れ、黒羽の方に向けられた。とても優しい目の奥で、期待に満ちた光がキラキラと輝いている。</div>
<div>「ねぇ、くろ。さむくなったら、バベルとたくさんてをつないで、たくさんバベルをあたためてね？」</div>
<div>辺りをじわじわと支配する熱気とは対照的な涼しい色彩を携えるバベルの瞳に吸い込まれそうになる。しかし、冷たい水を思わせるそれに見つめられても、黒羽の体が涼しくなることはなく、寧ろどんどんと暑さは増していくばかりだ。終いには耐えきれなくなって、黒羽はバベルから視線を逸らしてしまった。</div>
<div>「考えておいてやる」</div>
<div>そう答えるのが精一杯だったが、バベルは冬が楽しみだと言わんばかりに笑っていた。</div>
<div>体が熱い。さっきよりもずっと熱い。黒羽は額から滴り落ちてきた汗を拭う。せめて喉の乾きだけでも和らげようとペットボトルに手を伸ばしたが、とっくに温くなっていた。</div>
<div>黒羽は憎々しげに照りつける太陽を睨んで八つ当たりする。早く涼しくなってしまえと心の中で悪態を吐く。しかし、涼しくなればバベルのお願いを叶えることになるのだと気付き、余計に体を熱くさせたのだった。</div>]]></content:encoded>
    <dc:subject>アイチュウ(ほのぼの)</dc:subject>
    <dc:date>2021-10-14T00:17:59+09:00</dc:date>
    <dc:creator>雑音</dc:creator>
    <dc:publisher>NINJA BLOG</dc:publisher>
    <dc:rights>雑音</dc:rights>
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    <title>腕相撲の話</title>
    <description>腕相撲なんて、学生の頃にクラスメイトがやっているのを遠目に見ていたことがあるくらいの記憶しかなかった。一体何が楽しいのか、他人と力の強さを比べたいものなのか。過去の自分は、幼いながらにもそんなつまらない感想しか抱いたことはなかったはずだ。
もちろん大人になってもそれは変わらないわけだが、今ならその面...</description>
    <content:encoded><![CDATA[<div data-pm-slice="1 1 []" data-en-clipboard="true">腕相撲なんて、学生の頃にクラスメイトがやっているのを遠目に見ていたことがあるくらいの記憶しかなかった。一体何が楽しいのか、他人と力の強さを比べたいものなのか。過去の自分は、幼いながらにもそんなつまらない感想しか抱いたことはなかったはずだ。</div>
<div>もちろん大人になってもそれは変わらないわけだが、今ならその面白さが少しだけ分かる気がした。</div>
<div>「くろ、そろそろげんかい？こうさんする？」</div>
<div>「バベルこそ、疲れてきたんじゃないか？」</div>
<div>黒羽とバベルは、今まさに腕相撲の真っ最中だ。両者の力は拮抗しているのか、組み合っている手は真ん中からほとんど動いていない。しかし、両者の様子は対照的だった。</div>
<div>本気で挑んでいるのだろう、黒羽の顔は真剣そのもので全力を出しているのが分かる。一方で、バベルは手加減しているのか表情に出していないだけなのか、いつもの無表情のままだ。それどころか、頑張っている黒羽を眺めて楽しんでいる様子さえ見て取れた。</div>
<div>(これ、バベルの圧勝なんじゃないの？)</div>
<div>どうしてこんな状況になったのか朔空には分からない。プロデューサーの声と匂いをしっかりと堪能してからユニットルームに戻った時にはこうなっていたのだから&hellip;。</div>
<div>(何だろう、この既視感&hellip;&hellip;)</div>
<div>真剣勝負の真っ最中に水を差すわけにはいかず、朔空は黙ったまま二人を眺める。そうしていると、最近テレビで特集されていたとある動画が脳裏を過ぎった。</div>
<div>(あれだ。大型犬に絡む子猫の動画&hellip;&hellip;)</div>
<div>どすんと座った大型犬に、子猫が飛びかかったり、噛みつこうと奮闘する。でも、子猫がどれだけ頑張っても大型犬は全く動じない。そんな感じの動画だったはずだ。前々から黒羽のことを猫っぽいと思っていたせいもあるのか、朔空には目の前の光景がほのぼの動物映像にしか見えなくなりつつあった。</div>
<div>(取り敢えず撮っとくか)</div>
<div>どっちが勝とうがそこまで興味はない。というか、勝敗は明らかだ。このまま放っておいてもいいのだが、折角だからオンスタにでも上げようかな、なんて思いとどまり、朔空はスマートフォンを取り出す。そして、僅かにわくわくと昂り出している自分の感情には敢えて見て見ぬふりをして、ディスプレイ越しに二人の勝負の行方を見守った。</div>]]></content:encoded>
    <dc:subject>未選択</dc:subject>
    <dc:date>2021-07-02T18:53:27+09:00</dc:date>
    <dc:creator>雑音</dc:creator>
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    <title>発狂する話</title>
    <description>本文を読むには こちら からパスワードを入力してください。</description>
    <content:encoded><![CDATA[本文を読むには<a href="http://nurunuru.side-story.net/Entry/80/">こちら</a>からパスワードを入力してください。]]></content:encoded>
    <dc:subject>アイチュウ(特殊)</dc:subject>
    <dc:date>2021-03-25T22:16:48+09:00</dc:date>
    <dc:creator>雑音</dc:creator>
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    <title>アニメアイチュウ8話後の妄想</title>
    <description>しっかりとメイクを施したせいか、真夏の熱気にどんどん体力を蝕まれていく心地がする。隣で座っている一誠も暑いのだろう。顔からダラダラと汗が伝い落ちていた。
ここに待機してどれだけの時間が経っただろうか。少しまでで聞こえていた慌ただしい叫び声や足音は聞こえず、近くには一誠と自分以外人の気配はないようだっ...</description>
    <content:encoded><![CDATA[<div data-pm-slice="1 1 []" data-en-clipboard="true">しっかりとメイクを施したせいか、真夏の熱気にどんどん体力を蝕まれていく心地がする。隣で座っている一誠も暑いのだろう。顔からダラダラと汗が伝い落ちていた。</div>
<div>ここに待機してどれだけの時間が経っただろうか。少しまでで聞こえていた慌ただしい叫び声や足音は聞こえず、近くには一誠と自分以外人の気配はないようだった。</div>
<div>｢あやつら、どこに行ったのだろうか｣</div>
<div>｢知るかよ｣</div>
<div>エヴァの問いかけに答えた一誠はどこか元気がなさそうだ。イライラしている様子はなく、寧ろ気落ちしているようにすら見える。もしかしたら暑さに参っただけなのかもしれないが&hellip;&hellip;。</div>
<div>クマ校長の指示で半ば強制的にドッキリ企画に参加させられたわけだが、いざやってみると中々に面白く、エヴァも一誠も途中からは張り切っていた。エヴァからすれば魔界の住人として怪異に扮するのもまた一興だと気分が乗っていたのだ。一誠は元々ホラーというジャンルが好きだから気合いが入ったのかもしれない。</div>
<div>しかし、その意気込みは他のメンバーが怖がらせすぎたおかげで無下に終わろうとしていた。驚かされる側のメンバーが逃げるのに必死で、二人の待機するエリアとは別の方に逃げてしまったからだ。</div>
<div>こうなってしまったら追うか、彼らが戻ってくるのを待つしかない。そして後者を選んだのが、間違いだったようだ。</div>
<div>結局こうやって、待ちぼうけをくらってしまったのだから&hellip;&hellip;。</div>
<div>それにしても、暑い。衣装もしっかりと着込んでいるし、窓から差し込む日光で肌がジリジリと焼かれてしまいそうだ。</div>
<div>｢なぁ、バーサーカーよ。そろそろ&hellip;｣</div>
<div>皆のところに行かないか、と言いかけたところで、エヴァは思わず口を止めてしまった。というのも、一誠がこちらを見つめていたからだ。</div>
<div>｢ど、どうしたのだ？｣</div>
<div>一誠の表情が上手く読み取れない。というのも、汗のせいでメイクが剥がれだしたようで、元のゾンビメイクが更に禍々しくなってしまっていたからだ。</div>
<div>まさに異形と呼ぶに相応しいその様子にエヴァが思わず目を奪われていると、一誠はいきなり笑い始めた。</div>
<div>｢お、おい。お前、顔が&hellip;&hellip;｣</div>
<div>｢顔？我の顔がどうしたのだ？｣</div>
<div>｢メイクが、溶けて、くくっ、ひっでぇ&hellip;&hellip;&hellip;｣</div>
<div>そのまま一誠は腹を抱えて笑いを噛み殺す。かなりツボっているようで、肩を大きく震わせていた。</div>
<div>どうやら、エヴァの方のメイクも崩れてしまったようだ。気になってファンデーションに付いていた鏡で確認すると、なるほどと納得がいくほどにはメイクは崩れていた。特に口元が酷く、血糊と口紅が混ざりあって、まるでさっき人に食らいついたかのようにドロドロに汚れている。</div>
<div>｢バーサーカーよ、そんなに笑うな。お前だって中々に酷いありさまだぞ｣</div>
<div>｢はぁ？そんなわけ&hellip;&hellip;ぶふっ&hellip;&hellip;｣</div>
<div>顔を上げた一誠に鏡を向けると、自分のメイクの酷さにもウけてしまったようで、彼は再び膝に顔を埋めた。しかし、笑いは堪えきれておらず、苦しそうな嗚咽にも聞こえる笑いが不気味に盛れていた。</div>
<div>いつもオラついている一誠でもこんなに笑うものなのか、とエヴァは物珍しそうに見ていたが、しばらくすると彼の笑い声に別の音が混ざり出した。</div>
<div>複数の足音だ。そして聞き覚えのある声も聞こえる。</div>
<div>きっと、他のメンバーがこっちに向かってきているのだ。</div>
<div>｢おい、バーサーカーよ。あやつらが来たぞ｣</div>
<div>｢マジかよ、この顔で出ていくのか？｣</div>
<div>｢よいではないか、おぞましさは十分に出ているぞ。むしろ&hellip;&hellip;｣</div>
<div>エヴァはこっそりと一誠に耳打ちする。すると、さっきまで笑い泣きしていた一誠は、すぐに楽しそうに笑ったのだった。<br />
<br />
<br />
■■■■■■<br />
<br />
<br />
</div>
<div>｢そういえば一誠とエヴァはどこにいるんだ？｣</div>
<div>｢確か、あそこの廊下で待機してもらってたんだけど&hellip;&hellip;｣</div>
<div>ドッキリ企画が終わり、驚かす側も驚かせる側も緊張の糸は解けていた。それぞれがワイワイとどんな仕掛けを使っていたのかなどを話して盛り上がっている。</div>
<div>そんな中で鷹通と蛮は未だに合流していない二人を探すべく皐月を先頭にして彼らのいる場所を目指していた。</div>
<div>特に鷹通は一誠に物申してやりたくて、今にも皐月を追い抜きそうな勢いだった。だって怖かったんだから。めちゃくちゃ怖かったんだから。今なら一誠にガツンと言ってやれると思っていたくらいには、恐怖で蓄積したエネルギーが有り余っていた。</div>
<div>それを止めるように少し後ろを蛮が歩いている。もちろんエヴァに早く会いたいという気持ちもあった。</div>
<div>皐月が指さす廊下の曲り角。そこへ鷹通はずんずんと進んでいく。そして、足元に探していた人影を見つけて、恨みがましく二人の名を呼んだ。</div>
<div>｢一誠、エヴァ&hellip;&hellip;｣</div>
<div>だが、ゆっくりと顔を上げた二人と目が合った直後、その勢いは引っ込んでしまったのだった。色々とぶちまけてやろうと思っていた言葉もヒュッという空気の掠れた音へと虚しく代わっていた。</div>
<div>｢鷹通、どうしたんスか？｣</div>
<div>｢二人ともそこにいるだろ？｣</div>
<div>鷹通の背後から蛮と皐月が顔を出す。そして、鷹通と同じように小さな悲鳴を上げた。</div>
<div>｢たかみちぃぃぃ&hellip;&hellip;｣</div>
<div>｢ばぁぁん&hellip;&hellip;｣</div>
<div>ドロドロに溶けた顔。恨めしそうなギラり見開かれた目。赤黒く汚れた顔と衣服。</div>
<div>まるで這うようにして彼等を見上げる一誠とエヴァに、そこにいた三人はもちろん、後からやってきた残るメンバーのほとんどは顔を引き攣らせた。</div>
<div>その後&hellip;&hellip;</div>
<div>｢ぎゃぁぁぁーーーー！！！！｣</div>
<div>館内どころか外にまで鷹通の大絶叫が響き渡ったのだった。</div>]]></content:encoded>
    <dc:subject>未選択</dc:subject>
    <dc:date>2021-02-25T21:52:33+09:00</dc:date>
    <dc:creator>雑音</dc:creator>
    <dc:publisher>NINJA BLOG</dc:publisher>
    <dc:rights>雑音</dc:rights>
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  <item rdf:about="http://nurunuru.side-story.net/Entry/78/">
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    <title>バレンタインの話</title>
    <description>見た目はシンプルだけど、味には信頼がおける老舗のチョコレートにしようか。それとも、最近話題になっている鮮やかで可愛いチョコレートにしようか。いっそのこと、頑張って手作りにしてみようか&amp;amp;hellip;&amp;amp;hellip;。
目の前にバレンタインチョコレートのチラシや冊子を積み上げて、朔空は真剣に悩んでいた...</description>
    <content:encoded><![CDATA[<div data-pm-slice="1 1 []" data-en-clipboard="true">見た目はシンプルだけど、味には信頼がおける老舗のチョコレートにしようか。それとも、最近話題になっている鮮やかで可愛いチョコレートにしようか。いっそのこと、頑張って手作りにしてみようか&hellip;&hellip;。</div>
<div>目の前にバレンタインチョコレートのチラシや冊子を積み上げて、朔空は真剣に悩んでいた。</div>
<div>(プロデューサーちゃんはどんなチョコレートが好きなのかな)</div>
<div>アイチュウに入って初めてのバレンタイン。ファンからチョコレートを貰うことは地下アイドル時代からあったが、自分から渡すなんて何年もなかったことだ。</div>
<div>まだ彼が高校生だった頃は、今と同じように頭を抱えていた。しかし、過去と今では渡す相手は同じでも、状況は全く違う。以前は彼女のファンの一人として郵送するしかなったが、今年は直接手渡しできるのだ。彼女を目の前にして、自分の手で想いを渡すことができるのだ。</div>
<div>まるで夢のようで、その時のことを考えるだけでドキドキと胸がときめいて仕方がない。現実だけど、夢なのではないかと錯覚してしまいそうになるくらいだ。</div>
<div>あまりに浮かれすぎて緩みきった表情が出てしまっていた朔空は、遠巻きに視線を感じた。黒羽だ。彼は若干呆れた顔をしつつ、こちらを眺めている。そんな彼の手にはお菓子のレシピ本があった。</div>
<div>その背後にはバベルがいて、興味津々に黒羽の方を見下ろしてした。</div>
<div>｢ねぇ、ねぇ、くろ。どうしてくろも、さくも、ちょこれーとをえらんでるの？ばれんたいんは、おんなのこがおとこのこにちょこれーとをあげるひだよね｣</div>
<div>くいっ、と黒羽の服を軽く引っ張りながらバベルは尋ねる。声をかけられた黒羽は、読んでいたページを開いたまま本を伏せて、バベルを見上げた。</div>
<div>｢確かに日本のバレンタインは女性が男性にチョコレートを贈るという習慣になっている。だが、義理チョコや友チョコなんかはそういうしがらみは関係ない｣</div>
<div>｢そうなんだ。バベル、しらなかった｣</div>
<div>｢まぁ、俺の場合はお菓子を作ってくれとせがまれただけだがな？｣</div>
<div>｢せがまれた？だれに？｣</div>
<div>｢愛童星夜とレオンだ｣</div>
<div>バベルの問いかけに答えた黒羽の声のトーンはどんどんと落ちていく。どうしたのかと少し気になって様子をうかがっていると、黒羽は頭を抱えてブツブツと小声で話し続けた。</div>
<div>｢あいつら、ワックのポテトを奢る代わりにチョコレートケーキが食べたいだの、ブラウニーが食べたいだのとあれこれ注文してきたんだ。しかもSサイズのポテト一つでケーキだぞ。材料費がどれだけかかると思っているんだ、割に合わないだろ。それだけじゃない&hellip;&hellip;&hellip;｣</div>
<div>｢くろ、おーい&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;｣</div>
<div>そのまま黒羽は一人で黙々と苛立ちを吐き出し始めた。バベルは何度か黒羽に声をかけたり、手を振ったりしていたが、自分の世界に入ってしまった彼が反応することはなかった。</div>
<div>これはしばらくあのままだろう。少し黒羽のことを気の毒に思い、朔空は心の中でご愁傷さまと手を合わせた。そして、自分はチョコレート選びに戻ろうと思ったのだが、その前にバベルと視線が合ったのだった。</div>
<div>彼はそのままこちらへトコトコとやってきた。</div>
<div>｢さくはだれにあげるちょこれーとをみてるの？｣</div>
<div>｢そんなの、プロデューサーちゃんに決まってるじゃん！｣</div>
<div>即答だった。朔空からすれば当然のことだ。バベルもすんなりと納得したようだ。これまで何度も『プロデューサーちゃんに手は出すな』と警告していたおかげかもしれない。</div>
<div>だが、チョコレートの内容は気になるようで、バベルは朔空の背後に回り込んで中を覗き込んできた。少し気は散るけど邪魔ではないからそのままパラパラとページを捲っていると、わぁっと歓声が降ってきた。</div>
<div>｢どのちょこもきれいでかわいい。おいしそう｣</div>
<div>｢でしょ？どれを選ぶか迷っちゃうよ｣</div>
<div>｢さく、とってもたのしそうだね｣</div>
<div>｢当たり前でしょ。プロデューサーちゃんに直接チョコレートをあげれるんだよ。考えただけでもゾクゾクしちゃうよ｣</div>
<div>朔空はデゥフフ&hellip;&hellip;と声をこぼして笑った。</div>
<div>彼女はきっと驚いた顔をするだろう。そして、｢朔空君は貰う側じゃ&hellip;&hellip;｣と言ってくるだろう。でも、きっと喜んでくれるはずだ。</div>
<div>色々と脳内でバレンタイン当日の事をシュミレーションして頬が緩んでいく。バベルもニコリとしていた。</div>
<div>｢バベル、しってる。こういうの、ほんめいちょこっていうんだよね｣</div>
<div>｢そうだね。本命どころか大本命だよ。プロデューサーちゃん以外に本命とかありえないね｣</div>
<div>｢そっか。いいなぁ、バベルもほんめいちょこあげてみたいな｣</div>
<div>｢じゃあ、まずは恋をしなきゃね。あ、でもプロデューサーちゃんは駄目だから。バベルでも許さないから｣</div>
<div>ふにゃりとにやけていた朔空の表情が、一瞬だけ鋭くなる。冗談ではない威嚇だ。バベルは少し表情を引き攣らせつつ、頷いた。</div>
<div>｢だいじょうぶ、ぷろでゅーさーには、いつもありがとうのちょこれーとをあげるから｣</div>
<div>｢それならいいよ。あ、黒は駄目だからね｣</div>
<div>｢何で俺にも話を振るんだ！｣</div>
<div>ずっと独りごちていた黒羽にも朔空の声は届いたようで、すぐに少し苛立ったような返事が戻ってきた。それに対して朔空は意地悪い顔をする。</div>
<div>｢何となくだけど？｣</div>
<div>更に食ってかかってくるかと思ったが、黒羽はこれ以上は言い返さず再びレシピ本に視線を移した。拍子抜けしてしまったが、朔空は追撃はしなかった。</div>
<div>少し空気が張り詰める。しかし、バベルのワクワクした声がそれを和らげた。</div>
<div>｢ねぇ、さく。そこにおいてあるのみてもいい？｣</div>
<div>｢別にいいよ｣</div>
<div>｢わーい、ありがとう｣</div>
<div>バベルは、朔空が集めてきたチラシや冊子を指さす。朔空は嫌な顔はせず、すんなりと頷いた。</div>
<div>バベルは一言お礼を言うと、適当に冊子を一つ手に取った。それからは誰も話すことはなく、部屋中に静かな空気が広がっていった。<br />
<br />
<br />
◆◆◆◆◆<br />
<br />
<br />
</div>
<div>バレンタイン当日。黒羽、朔空、バベルの表情はそれぞれバラバラだった。</div>
<div>三期生からお菓子を強請られた黒羽はぐったりしているし、プロデューサーに本命チョコを手渡せた朔空は至福の表情を浮かべている。そんな二人の少し後ろを歩いているバベルはソワソワしていた。</div>
<div>｢くろ、さく、あのね&hellip;&hellip;&hellip;｣</div>
<div>アルケミストに用意された部屋に着いたところで、バベルはおずおずと口を開く。彼が何をしようとしているのか、朔空には大体予測がついていたが、敢えて尋ねることにした。</div>
<div>｢バベル、どうしたの？｣</div>
<div>｢あのね、きょうはふたりにわたしたいものがあります｣</div>
<div>朔空の予想通り、バベルはリュックをごそごそと漁り出す。そして、小さい箱を二つ取り出した。黒羽はそこでようやく察しがついたようだった。</div>
<div>｢えっと、きょうはばれんたいんでしょ。だから、くろと、さくに、ほんめいちょこをあげます｣</div>
<div>小さな箱には赤いリボンと青いリボンがそれぞれ巻かれている。少し不格好に巻かれたそれは、バベルが自分で結ったものだろう。</div>
<div>きっと一生懸命用意したに違いない。とても満足そうにしているバベルの様子から、そう感じ取れた。</div>
<div>｢バベル、ありがとう｣</div>
<div>｢まさか、バベルから本命チョコをもらうとは思ってなかったよ｣</div>
<div>｢びっくりした？ほんとうのほんめいちょこは、こいをしたあいてにあげるものだとおもってるけど、バベルにはこいが、よくわからない。だから、いっしょにいたらしあわせになれて、これからもずっとずーっといっしょにいたいなっておもってる、くろと、さくに、ほんめいちょこをあげたいなっておもったの｣</div>
<div>バベルなりの本命チョコ。それを見つめていると自然と表情が緩んでいった。</div>
<div>｢どうやらバベルに先を越されてしまったみたいだな｣</div>
<div>黒羽は手渡されたチョコレートを大切そうに受け取っると、部屋に備え付けられている冷蔵庫に向かい、そこから何かを取り出した。どうやら、彼も前もって準備していたようだ。</div>
<div>｢三期生達に強請られて菓子を作ったんだが、材料が余ったからお前達の分も作っておいた。受け取ってくれ｣</div>
<div>透明のラッピング袋には、アイシングで装飾されたカップケーキが二つ入っていた。手作りとは思えない出来だ。</div>
<div>｢これ、くろがつくったの？すごい！かわいい！｣</div>
<div>｢本当に引いちゃうくらい上手だよね｣</div>
<div>｢おい、お前は素直に褒められないのか？｣</div>
<div>｢はいはい、上手に出来てるねー｣</div>
<div>少し意地悪に黒羽をあしらってみたら、ムッとされた。それが無性に愉快で、朔空は思わず笑ってしまう。何だかんだ言っても嬉しいのだ。</div>
<div>バベルの方はというと、大はしゃぎで喜んでいた。</div>
<div>｢あーあ、この流れじゃ俺も何か用意しなきゃいけないじゃん｣</div>
<div>｢べつに、さくにちょこれーとをきょうようしたりしないよ｣</div>
<div>｢そうだぞ。無理に集ったりはしない｣</div>
<div>｢はいはい、分かってるって。まぁ、ちゃんと準備してるんだけどね｣</div>
<div>朔空もずっと持っていた紙袋から、二つの箱を取り出す。大きさも形も全く違う箱だ。</div>
<div>｢バベルはこっちね。可愛いチョコとか好きでしょ。黒羽こっち。質より量で選んどいた｣</div>
<div>｢おい！｣</div>
<div>扱いに差があるように感じたのか、黒羽は少しだけ怪訝そうな顔をしていた。</div>
<div>｢黒、数日前に言ったこと覚えてる？チョコレート一粒に数百円も払うなんてありえないって言ってたよね？｣</div>
<div>｢&hellip;そういえば、言ったな｣</div>
<div>｢でしょ？｣</div>
<div>黒羽はまだ完全に腑に落ちない様子だったが、素直にチョコレートを受け取った。いつもの仏頂面も緩んでいるから、きっと嬉しいのだろう。朔空はそう思っておくことにした。</div>
<div>｢くろも、さくも、ありがとう｣</div>
<div>｢俺の方こそありがとね｣</div>
<div>｢俺からも礼を言う｣</div>
<div>結局お互いにチョコレートを交換して、お礼を言い合って、一緒に笑った。</div>
<div>｢バベル、ばれんたいんちょこをあげたの、ことしがはじめて。だから、とってもうれしい｣</div>
<div>｢俺も義理ならともかく友チョコは初めてかも｣</div>
<div>｢俺もバレンタインにお菓子を作る日が来るとは思わなかった｣</div>
<div>｢そしたら、みんな、はじめて。おそろいだね｣</div>
<div>｢あはは、そうだね｣</div>
<div>何だか気恥ずかしい。でも嫌ではない。</div>
<div>(あげるのもそうだけど、仲間って呼べる相手からチョコを貰う日が来るなんてね、思ってもみなかったよ)</div>
<div>朔空は照れながらも胸に温かなものを感じて、二人からもらったものを大切そうに紙袋に閉まったのだった。</div>]]></content:encoded>
    <dc:subject>未選択</dc:subject>
    <dc:date>2021-02-14T12:49:12+09:00</dc:date>
    <dc:creator>雑音</dc:creator>
    <dc:publisher>NINJA BLOG</dc:publisher>
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  <item rdf:about="http://nurunuru.side-story.net/Entry/77/">
    <link>http://nurunuru.side-story.net/Entry/77/</link>
    <title>お祝いする話(バベル誕SS)</title>
    <description>オンスタの誕生日配信が無事に終わった。達成感と安心感に包まれながら、壁にかけてある時計を見上げると、あと数時間で日付が変わろうとしていた。
もうすぐ一年が終わる。そして新しい一年が始まるのだ。
バベルはこの一年間を振り返ってみた。練習は大変だし、悩むこともあった。悲しいと思うこともなかったわけではな...</description>
    <content:encoded><![CDATA[<div>オンスタの誕生日配信が無事に終わった。達成感と安心感に包まれながら、壁にかけてある時計を見上げると、あと数時間で日付が変わろうとしていた。</div>
<div>もうすぐ一年が終わる。そして新しい一年が始まるのだ。</div>
<div>バベルはこの一年間を振り返ってみた。練習は大変だし、悩むこともあった。悲しいと思うこともなかったわけではない。それでも辛い記憶はそれほどなくて、楽しい記憶に埋め尽くされていた。それもこれも、自分の周りにいる仲間や家族、ファン達がとても優しいからだ。</div>
<div>今、この学園に残っているのはバベルとプロデューサーだけだ。しかも彼女は撮影室の戸締りをしに行っているから、バベルは一人で薄暗いエントランスでポツンと佇んでいた。それでも、楽しい出来事をあれこれと思い出していたおかげで、一人でいても寂しくなくて心は温かくなる一方だった。</div>
<div>次第に上機嫌になっていく。ついには鼻歌を歌いながら思い出に浸っていると、不意に聞き慣れた電子音がエントランスに響いた。</div>
<div>(つうちおん？)</div>
<div>ズボンのポケットから聞こえてきたそれは、スマートフォンの通知音だった。何だろう、と確認してみると、どうやらアルケミストのグループMINEにメッセージが入ったようだ。</div>
<div>年明けの仕事についてだろうか、なんて思いながら送られてきたメッセージを読んだバベルは、目を見開いた。そこには黒羽からの真面目な内容の連絡事項ではなくて、可愛いスタンプ数個と｢バベル、インスタ配信お疲れ様。誕生日おめでとう。今度会ったらあんぱん奢ってあげるよ｣という朔空からの言葉があったから&hellip;&hellip;。しかも続けて黒羽からも｢誕生日おめでとう。来年もアルケミストとして共に高みを目指すぞ｣の後に｢今度あんぱんを作ってやるから楽しみにしておいてくれ｣とメッセージが送られえてきて、バベルはパチパチと目を瞬かせた。</div>
<div>何度見直してもそこには大好きな二人からの祝福の言葉がある。それがとても嬉しくて、バベルはギュッとスマートフォンを握った。</div>
<div>しかし、バベルのスマートフォンは鳴り止まない。それどころか何回も、何回も、通知が届いて、静かなエントランスに明るい電子音がこだました。</div>
<div>呆気に取られたバベルはディスプレイをまん丸くした目で見つめる。今度はアイチュウ全体で使うグループに、｢バベル、誕生日おめでとう！今度一緒にワック行こうぜ！｣という星夜のメッセージから始まり、他のメンバーからのお祝いの言葉が次々と流れ始めたのだ。</div>
<div>偶然なのか、元々計画していたのかは分からない。それでも自分の誕生日を祝ってくれる人がたくさんいる事には代わりがなくて、喜びでトクトクと心が弾んだ。</div>
<div>どんどんと流れてくる優しい言葉達から目が離せない。ずっと、ずっと、見ていたくなる。しかし、そんな彼の気持ちとは裏腹に、視界は徐々にぼやけていった。</div>
<div>｢あれっ&hellip;&hellip;｣</div>
<div>気付けば両目には涙がいっぱい溜まっていて、留まりきらなかった粒が彼の頬を滑り落ちていった。冷たい空気に冷やされていた頬に温もりが走る。</div>
<div>(バベル、ないてる？どうして？)</div>
<div>自然と流れてきた涙にバベルは呆然とする。しかし、すぐに笑顔に戻った。</div>
<div>(そういえば、まえにぷろでゅーさーがいってたっけ)</div>
<div>昔は、涙が流れるのは悲しい時なのだと思っていた。でも、それだけではない。悲しくなくても涙は流れるのだと、今のバベルは理解していた。</div>
<div>バベルは愛しげに涙で濡れた頬に触れる。やはり、温かい。一気に感情が込み上げてきたせいで少しだけ目眩もしたが、不快ではなく、むしろ心地良くさえあった。</div>
<div>この感情をバベルは知っていた。いや、アイチュウになることで知ることが出来た。これは『幸せ』だ。</div>
<div>｢バベル君、待たせてごめんね｣</div>
<div>幸せな涙の余韻に耽っていると、彼を呼ぶ声と慌ただしい足音が近付いてきた。振り返ると、ヒールでこちらに頑張って走ってくるプロデューサーが見えた。</div>
<div>｢ぷろでゅーさー、おかえり｣</div>
<div>バベルは目に残っていた涙を拭ってプロデューサーを迎える。辺りが薄暗いせいか、彼女はバベルが泣いていた事には気付いていないようで、懸命に息を整えながら待たせたことを謝ってきた。</div>
<div>｢本当にごめんね。仕事の連絡が入ってたみたいで対応してたら時間がかかっちゃって&hellip;&hellip;｣</div>
<div>｢だいじょうぶだよ。いまのバベルはとってもしあわせだから｣</div>
<div>｢？｣</div>
<div>バベルが嬉しそうにしている理由が分からず、プロデューサーは不思議そうな顔をして彼を見上げる。しかし、バベルがニコリと笑いかけると、彼女はすぐに頬を緩めた。</div>
<div>｢じゃあ、遅くなっちゃったから急いで帰ろうか｣</div>
<div>｢はーい｣</div>
<div>あまりに帰りが遅いと、家族の皆が心配してしまうだろう。バベルはスマートフォンを大切に握ったまま、先に歩き始めたプロデューサーの後に続くようにして歩き出した。</div>
<div>｢あ、そうだった｣</div>
<div>コツコツ、パタパタと、二人の足音が混ざり合う。そのまま歩みは止めずに、何かを思い出したプロデューサーが顔を上げ、バベルと視線が交わった。</div>
<div>どうしたのだろうと、プロデューサーの様子をうかがっていると、今度は彼女から微笑み掛けられたのだった。</div>
<div>｢バベル君、誕生日おめでとう！｣</div>
<div></div>]]></content:encoded>
    <dc:subject>アイチュウ(ほのぼの)</dc:subject>
    <dc:date>2020-12-31T08:23:50+09:00</dc:date>
    <dc:creator>雑音</dc:creator>
    <dc:publisher>NINJA BLOG</dc:publisher>
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    <title>占いの話</title>
    <description>その日、バベルは朝から黒羽にべったりだった。同じユニットなのだから一緒に行動するのは普通のことだが、黒羽が休憩中に自動販売機に水を買いに行ったり、レッスン室の鍵を返しに行ったりする時も、バベルはついて回っていた。まるでカルガモの親子みたいに&amp;amp;hellip;&amp;amp;hellip;。
「今日はずいぶんと黒にく...</description>
    <content:encoded><![CDATA[<div>その日、バベルは朝から黒羽にべったりだった。同じユニットなのだから一緒に行動するのは普通のことだが、黒羽が休憩中に自動販売機に水を買いに行ったり、レッスン室の鍵を返しに行ったりする時も、バベルはついて回っていた。まるでカルガモの親子みたいに&hellip;&hellip;。</div>
<div>「今日はずいぶんと黒にくっついて回ってるけど、どうしたの？」</div>
<div>はたから見たら微笑ましいし面白い。だが、四六時中行動を共にされて気疲れしてきた様子の黒羽を見かねて、朔空はバベルに尋ねたてみた。もちろんバベルに悪気はないのだろう。彼はニコニコと笑って答えた。</div>
<div>「あのね、きょうのせいざうらないでくろのらっきーぱーそんは、せがたかいひと、だったの。バベルはせがたかいから、くろといっしょにいたら、たくさんしあわせになれるかもっておもったの」</div>
<div>「あー、そういう理由ね」</div>
<div>完全なる善意でバベルは黒羽にくっついていたようだ。実際のところ、その考えは空回って黒羽はげんなりしているわけだけど、当の本人は気付いていない。</div>
<div>疲れてぐったりする黒羽と、えへんと胸を張るバベルはあまりにも対照的だ。</div>
<div>「バベル、お前の気持ちはよく分かった。だが&hellip;&hellip;」</div>
<div>「だから、きょうはバベルがくろのらっきーぱーそんになってあげる！」</div>
<div>しかも、やんわりと断ろうとした黒羽の言葉は、バベルが続けた言葉で見事に遮られていた。そのタイミングの悪さに、朔空は吹き出しそうになるのを懸命に抑えた。</div>
<div>(これじゃあ、ラッキーパーソンなのか、アンラッキーパーソンなのか、分かんないじゃん)</div>
<div>なんて意地の悪い感想はそっと胸の中にしまっておいて、朔空は傍観を決め込んだのだった。</div>
<div></div>]]></content:encoded>
    <dc:subject>アイチュウ(ほのぼの)</dc:subject>
    <dc:date>2020-12-13T19:44:08+09:00</dc:date>
    <dc:creator>雑音</dc:creator>
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