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SS置き場

Twitterで書いた二次創作SSを載せていくだけの場所。 夢も腐もある無法地帯。

クリスマスなバベ黒SS

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クリスマスなバベ黒SS



フォロワーさんの素敵なクリスマスバベ黒の続きを勝手に妄想して書きなぐらせてもらいました。

今年のクリスマスはバベルにプレゼントを渡そう。出来ることならば夜の内に、そっと枕元に置いておきたい。その方が彼も喜ぶはずだ。
そう思い立ったのはよかったのだが、どうやらあっさりと気付かれてしまったらしい。
すやすやと寝息を立てていた筈だったのだが、しっかりと足を捕まれて、そのまま引き寄せられてしまったのだった。
「ふふっ、サンタさん、つかまえた」
とても楽しげに笑うバベルとはうらはらに、黒羽は顔をひきつらせていた。辛うじてサンタの格好をしているし、部屋は暗いが、流石にバレているはずだ。
何とかバベルの拘束から逃れようとしてみたが、かなり強い力で肩を掴まれているせいで、ビクともしない。それどころか、逃げられないようにと腰に腕を回される始末だった。
「バベル、離してくれ」
「いやだ。だって、さんたさんはばべるがいいこにしてたからきてくれたんでしょ?」
「………あぁ、そうだが…」
幸せいっぱいに微笑んでいるバベルの表情に、黒羽は気抜けする。バベルはニコニコしたまま、甘えるように黒羽の肩にもたれかかった。
「ありがとう」
背中越しにバベルの体温と鼓動が伝わってくる。じわじわと広がる温もりも、トクトクと落ち着いた律動を刻む鼓動も、とても心地がいい。
「バベル、いろんなものをもらってばかりだね」
穏やかなバベルの声に耳を擽られて、黒羽はこそばゆそうに目を細めた。
「たのしいおもいでや、みたこともなかったけしき、いろんなものをくろはバベルにくれた。どれも、バベルがひとりだったら、ぜったいにてにはいらなかったものばっかり。それに、きょうは、ぷれぜんともくれた。くろは、バベルのさんたさんだね」
「それはお前がいつも俺達を支えてくれているからだ。感謝している」
「ありがとうをいわないといけないのは、バベルのほうだよ」
ぎゅっ、と腕の力が強くなる。少し視線を横にずらすと、優しい顔をしたバベルの横顔がチラリと視界に映った。一瞬だけ視線が交わり合い、ドキリと心臓が跳ねる。
「ねぇ、バベルもくろになにかおかえしがしたい。くろはなにをしてほしい?バベルにおしえて?」
ゆったりと囁かれた声に、黒羽はブルリと体を震わせた。
クリスマスという特別な夜がそうさせるのか、全くやましい雰囲気ではない筈なのに、心臓が煩くて仕方がない。
「くろ」
ただ名前を呼ばれるだけで、声と共に熱がじんわりと全身に広がっていく。その心地よさに、もっと名前を呼んでほしいと心が傾きそうになる。
「バベル…俺は……」
咄嗟に開きかけた唇を、黒羽はぎゅっと閉ざす。
自分は何を考えている。今夜はただバベルにプレゼントを渡しにきただけだというのに…。
「どうしたの?」
「いや、何でもないんだ。本当に、何でもない」
心の中で自らを叱咤し、黒羽は一度深く息を吐き出した。
「………」
「………」
お互いに黙ったまま、静かな時間だけが刻々と過ぎていく。カチカチと時を刻む時計の音と、黒羽の鼓動だけが煩く響き続ける。
その静寂は、日付が変わるまで続いた。
「あっ……」
ボーン、ボーン。と外から振り子時計の鐘の音がうっすらと聞こえてくる。
「くりすます、おわっちゃったね」
「そうだな」
「バベル、くろのさんたさんになれなかった」
少し寂しそうな顔をするバベルに、黒羽はそっと手を伸ばす。そして、優しく頭を撫でた。
「そんな顔をするな。来年もクリスマスが来るんだ、その時はバベルが祝ってくれ」
「うん、わかった!つぎのくりすますは、くろにたくさんぷれぜんとする!」
すぐに元の笑顔に戻ったバベルに、黒羽はホッと胸を撫で下ろす。やはり、彼には笑顔が似合う。
「あ、でもひとつだけいまのうちにあげたいものがある」
「何だ?」
「あのね……」
まるで内緒話をするように、バベルの顔が黒羽に近付く。何だろう、とそのまま彼を見ていると、ふと唇に温もりが広がったのだった。
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