今日はバベルさんの誕生日だ。ファンからの贈り物とアイチュウ達からの贈り物を腕一杯に抱える彼はとても嬉しそうだった。
いつも眩しい笑顔を浮かべているけど、今日はその倍はキラキラと煌めいて見える。
「バベルさん、誕生日おめでとうございます」
皆より出遅れてしまった。それがほんの少しだけ悔しい。でもどうでもいいことで嫉妬するくらいなら、誰にも負けないくらいにバベルさんをお祝いした方がずっといい。
「きみも、バベルをおいわいしてくれるの?」
「うん。よかったら、これも受け取って欲しいんだけど……」
プレゼントの入った袋を手渡したいのだが、もう持つ余裕はなさそうだ。さて、どうしようか。
「このぷれぜんとを、おへやにおいてくるから、すこしまってもらってもいい?」
「はい!」
「ありがとう。きみのぷれぜんと、すごくたのしみ」
本当に嬉しそうに笑ってくれるから、こちらまで幸せになってくる。
「あっ、そうだ」
一歩踏み出したところで、バベルさんはクルリと向きを代えて、こっちを見下ろしてきた。何か忘れていたのだろうか。と様子をうかがっていると、バベルさんの影が降ってきた。
「さきに、すこしだけおいわいもらうね?」
そっと囁かれて、耳に小さなリップ音が響く。
あまりに唐突で固まっている私に、更に追い討ちが下された。
「もどってきたら、もっとたくさん、ちゅってさせてね?」