忍者ブログ

SS置き場

Twitterで書いた二次創作SSを載せていくだけの場所。 夢も腐もある無法地帯。

神父バベルが堕天使黒羽を堕とそうとする話

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

神父バベルが堕天使黒羽を堕とそうとする話

この堕天使は一体どのような罪を犯し、神の元から追放されたのか。何故純白の翼を闇を染め、地に落とされたのか。
彼らの象徴ともいえる漆黒の翼を封じられ四肢に枷をはめられた堕天使を目の前にした神父には想像もつかなかった。
「憐れだな」
神父は堕天使に手を伸ばす。そして、翼の名残ともいえる背中の刻印にそっと指を這わせた。それが不快だったのだろうか、堕天使はゾワゾワと体を震わせた。震えの伝わった枷の鎖がジャラリと音を立てる。
「神の奴隷が気安く俺に触れるな」
堕天使にしては凛とした声が紡がれる。ギラギラと憎悪を宿した瞳もとても綺麗だ。天界で純白の翼を広げていた頃は、さぞ美しかったに違いない。
己を睨む堕天使を見下ろす神父は、哀憐の情を抱いていた。
きっと、彼は知らない。これから何が行われるのかも、彼自身の未来も……。
神父は嫌がる彼の意思に反して、綺麗な造形の顔を両手で包み込む。そして、グッと掬い上げた。
「俺の言葉が聞こえなかったのか?触れるなと……」
不機嫌な声色を吐き出す唇に、神父は己のそれを重ねた。何の前触れもなかった接吻に、堕天使の目に驚愕の色が浮かび上がる。
彼の目に鋭さが戻ったのはすぐのことだ。だが、彼が抵抗する間も与えず、神父は僅かなリップ音を名残に唇を離した。
「貴様、何のつもりだ」
「お前は神の加護を失い、地に堕ちた。そんなお前を放っておけば直に災いとなるだろう。それを見過ごすわけにはいかない」
「だからどうした。そんなことを口実に俺を犯すか?」
「違う。お前には更に堕ちてもらうつもりだ」
神父は鋭い双眸で堕天使を貫く。きっと教徒の前では慈愛に満ちているであろうその目に温もりは宿っていなかった。代わりに渦巻いているのは凍てつくような欲火だ。
人間とは思えない気迫に、堕天使は慄然した。
「俺をどこまで落とすつもりだ」
神父は弱々しく投げ掛けられた問い掛けには答えず、代わりに口付けを返そうとした。しかし、ガリッという痛々しい音によって阻まれた。双方の唇が赤く染まる。
「言ったはずだ、気安く触れるな」
今度は神父が驚愕する番だった。堕天使が大人しいとは思っていなかったが、こんな反撃を仕掛けてくるとは想定していなかった。
ピリッと走る痛みで我に返った神父は、血の滴る唇を歪ませて笑う。そして、お返しと言わんばかりに堕天使の唇に歯を立て、グッと力を込めた。
柔らかな皮膚にプツッと歯が食い込み、そのままブチりと肉を裂く。悲鳴は聴こえない。代わりに血が溢れ出た。
「俺も言った筈だ。お前には更に堕ちてもらう、と」
ドクドクと流れ出す血を舐めとり、神父は堕天使の耳元に唇を寄せる。
「お前を俺のところまで堕としてやる。お前はもう、俺だけのモノだ」
ゆっくりと、しっかりと、彼の脳にしっかりと刻み込むように、神父は低い声で呪詛を囁いた。
PR

コメント

プロフィール

HN:
雑音
性別:
非公開

P R