【バベ黒】
きょうのれっすんがおわったからおうちにかえろうとしていたら、だんわしつでくろをみつけた。
なにをしているのかなってきになったからちかづいてみたら、ねむってた。とってもきもちよさそうなねいきがきこえくる。
くろがこんなところでねるなんて、めずらしい。さいきんおしごとがたくさんあったから、たくさんつかれてたのかもしれない。
「ふふっ、かわいい」
いつもはむすっとしてるけど、ねるときはほっぺたがゆるゆるになってて、さわってみたらぷにってした。
「ねぇ、くろ。おきて?おきないと、バベルがたべちゃうぞー」
ねがおがたべちゃいたいくらいにかわいくて、ちょっとだけくびにかみついた。あとをのこしたらおこるから、やさしくかんだらくすぐったそうにねがえりをうたれちゃった。
それでもくろはおきない。きっとたのしいゆめをみてるのかな、しあわそうなかおをしてた。
「ふぁー……」
なんだかバベルまでねむくなってきちゃった。ひとりでねるより、ふたりでねたほうがぽかぽかできもちがいいから、となりでねてもいいよね?
【バベ朔】
「今日は激しくして」
そう要望されたから、お望み通りにベッドに押し倒してやると、朔空は甘えるように腕を伸ばしてきた。ステージの上で見せるのと同じあざとい笑みが、まるで気紛れな猫みたいだ。だが、その笑みの裏に隠しきれていない感情を俺は知っていた。
どれだけ体を重ねても、恥じらいは拭えないものだ。平然を装ってはいるが、首に回された手の微かな震えはとまっていない。頬が紅を帯びているのも気付いているかどうか……。まぁ、そこが可愛らしいんだが。
「どうした、俺が怖いのか?」
ついつい意地悪したくなって、耳元で尋ね、首筋に歯を立てた。途端に体を震わせた朔空は、喉まで込み上げた悲鳴を飲み込んだようだ。
「えっ、何?俺がバベルを怖がるわけないじゃん」
代わりに吐き出された強がりに、終わらず笑いが溢れる。途端に不機嫌に顔をしかめた朔空を宥めるために口付けを落とすと、仕返しとばかりに唇を噛み返された。